インボイス経過措置の負担増の計算(決算月対応)
免税事業者など(インボイス発行事業者以外)からの仕入れは、控除できる割合が 2026年10月1日に80%から70%へ下がり、その後も50%・30%・0と下がります。年の仕入れ額と決算月を入れると、期ごとに「控除できない消費税(会社の負担)」がいくら増えるかを出します。
先に確かめてください:この計算は、仕入れの消費税を実際の仕入れから計算する方法(一般課税、いわゆる原則課税)の人向けです。簡易課税(みなし仕入率で控除する方法)、2割特例(2026年9月30日を含む課税期間まで)、3割特例(インボイスの登録で課税事業者になった個人事業者の、2027年分・2028年分)で申告する期は、売上の消費税の2割・3割を納める方法などで、仕入れの控除をこの方法で計算しないので、この道具の数字は当てはまりません。課税売上割合が95%未満などで控除を按分する場合も、控除できる額はこれより少なくなります。
計算する
免税事業者など、インボイス(適格請求書)を出さない相手からの仕入れだけを入れます。
個人事業者は12月を選びます。
仕入れの額を入れると、ここに期ごとの表が出ます。
確定 今の法律のとおり
令和8年度の税制改正(所得税法等の一部を改正する法律、令和8年法律第12号、2026年3月31日公布)後の割合と上限です。
| 期 | 消費税 相当額(円) | 控除できる 額(円) | 負担(円) | 前の期 との差(円) |
|---|
月ごとの割合を見る
予定 改正された場合
2026年10月9日に確かめた範囲では、この割合と上限を変える大綱・法案は出ていません。大綱や法案が出たら、ここに「改正された場合」の数字と、今の法律との差額を並べます。
目安の計算です。実際の申告は、帳簿と請求書、個別の事情で変わります。大事な判断には、税理士や税務署にもご確認ください。
計算のしかた
控除できる額は、仕入れの消費税相当額(10%の分は支払額の110分の10、8%の分は108分の8)に、その月の割合を掛けた額です。負担は、消費税相当額から控除できる額を引いた残りです。国税だけで見ると110分の7.8(8%の分は108分の6.24)に割合を掛けますが(国税庁 Q&A 問130)、地方消費税の分も同じ割合で控除されるので、合わせると110分の10になります。
割合(仕入れた日で決まります)
- 2023年10月1日〜2026年9月30日:80%
- 2026年10月1日〜2028年9月30日:70%
- 2028年10月1日〜2030年9月30日:50%
- 2030年10月1日〜2031年9月30日:30%
- 2031年10月1日から:0(控除できません)
どの割合を使うかは、決算の日ではなく、仕入れの日(商品は引き渡しを受けた日、サービスは提供が全部終わった日)で決まります。そのため、3月決算の会社の2026年4月からの期は、4〜9月の仕入れが80%、10〜3月の仕入れが70%になり、1つの期に2つの割合が混ざります。
1社あたり年1億円の上限
2026年10月1日以後に始まる期から、1つの相手からの仕入れ(10%と8%の合計)が、その年(事業年度)で税込1億円を超えると、超えた部分は経過措置を使えません(それより前、2024年10月1日以後に始まる期は10億円)。3月決算なら、1億円になるのは2027年4月からの期です。この道具では、その相手からの仕入れを月の順に足していき、1億円を超えた後の仕入れを控除できない分として数えます。
前提
- 仕入れは毎月同じ額(年額の12分の1)とします。実際の仕入れの月が偏っている場合は、割合が変わる月の前後で結果が変わります。
- 期は12か月とし、決算月の翌月から始まるとします。
- 消費税相当額と控除できる額は期ごとに計算して円未満を四捨五入し、負担はその差です(実際の申告では、取引ごとまたは期の合計で、端数を切り捨て又は四捨五入します)。
- 帳簿に経過措置の対象である旨(「80%控除対象」「免」など)を書き、区分記載請求書と同じ内容の請求書等を保存していることが前提です。
例
3月決算で、免税事業者からの仕入れが年1,100万円(すべて10%)の場合、消費税相当額は年100万円です。負担は、2025年4月からの期が20万円、2026年4月からの期が25万円(+5万円)、2027年4月からの期が30万円、その後40万円・50万円・60万円・85万円と増え、2032年4月からの期は100万円(全額)になります。
根拠(国税庁・e-Gov の原文)
- 国税庁「令和8年度税制改正特集」(割合の見直しと、1億円の上限)
- 国税庁 Q&A 問113(免税事業者等からの仕入れに係る経過措置)
- 国税庁 Q&A 問113-3(令和8年10月1日前後の取引)
- 国税庁 Q&A 問130(経過措置を適用する場合の税額計算)
- e-Gov 法令検索「消費税法」(改正の履歴に、所得税法等の一部を改正する法律〈令和8年法律第12号〉、2026年3月31日公布)
割合と上限の条文は、平成28年の改正法(所得税法等の一部を改正する法律)の附則52条・53条です(問113 の記載)。
最終更新:2026年10月9日(令和8年度の税制改正まで反映)。運営:経理の実務経験のある運営者。改正の発表があれば、この「予定」の欄に並べて更新します。