所得税の基礎控除引上げで年税額はいくら変わるか(令和7年分〜令和10年分)

令和8年度の税制改正で、給与の人の所得税の基礎控除などが変わりました。給与の年収・社会保険料・家族を入れると、同じ収入・同じ家族のままで、令和7年分・令和8年分・令和9年分・令和10年分以後の年税額(復興特別所得税・防衛特別所得税を含む)を並べ、前の年分との差を出します。

先に確かめてください:この計算は、勤め先が1か所で、年末調整を受ける給与の人だけが対象です。次の人・控除は、この道具の対象外です。

計算する

賞与を含めた、源泉徴収票の「支払金額」です(通勤手当の非課税分は除きます)。2,000万円まで。

健康保険・厚生年金・雇用保険など。

生命保険料控除・地震保険料控除・iDeCoなどを、自分で計算した合計。年ごとに同じ額で計算します。

2年目以降の人。無ければ0。年ごとに同じ額で計算します。

配偶者
扶養親族の人数(所得要件を満たす人)

令和7年分は合計所得58万円以下(給与だけなら123万円以下)、令和8年分以後は62万円以下の人です。4つの年分とも、同じ人数で計算します。年分によって要件を満たしたり外れたりする人(給与だけなら年収123万円超136万円以下の人など)がいると、その年分の差額は正しく出ません。

給与の年収を入れると、ここに4つの年分の表が出ます。

目安の計算です。実際の税額は、年末調整や確定申告の内容、個別の事情で変わります。大事な判断には、税理士や税務署にもご確認ください。

計算のしかた

年分ごとに、次の順で計算します。給与の年収から給与所得控除を引いた金額(給与所得)を出し、そこから所得控除の合計を引いた課税所得に税率を掛け、住宅ローン控除を引いて、最後に特別所得税の分を足します。

1. 給与所得控除後の給与等の金額

給与の年収から給与所得控除を引いた金額です(所得税法28条・別表第五)。給与所得控除の最低額(収入が低いときの控除額)は、令和7年分が65万円、令和8年分と令和9年分が74万円(租税特別措置法29条の4の特例)、令和10年分以後が69万円です。収入が一定の額(令和7年分は190万円、令和8年分・令和9年分は220万円、令和10年分以後は203万6,000円)以上になると、どの年分も同じ表(4,000円刻みの収入×70%−8万円など)になります。

2. 所得金額調整控除と合計所得金額

本人が特別障害者の場合や、23歳未満の扶養親族がいる場合などで、給与の年収が850万円を超えるときは、年収(上限1,000万円)から850万円を引いた額の10%(円未満切上げ)を、給与所得から引きます。この式は4つの年分とも同じです。引いた後の金額が合計所得金額(この道具では給与所得)です。

3. 基礎控除(合計所得金額で決まります)

基礎控除は、年分と合計所得金額で次のように決まります(所得税法86条と、租税特別措置法41条の16の2の加算)。

合計所得金額令和7年分令和8年分・令和9年分令和10年分以後
132万円以下95万円104万円99万円
132万円超 336万円以下88万円104万円62万円
336万円超 489万円以下68万円104万円62万円
489万円超 655万円以下63万円67万円62万円
655万円超 2,350万円以下58万円62万円62万円
2,350万円超 2,400万円以下48万円48万円48万円
2,400万円超 2,450万円以下32万円32万円32万円
2,450万円超 2,500万円以下16万円16万円16万円
2,500万円超000

4. 配偶者控除・配偶者特別控除、扶養控除、ひとり親控除

配偶者の合計所得(この道具では配偶者の給与から、同じ年分の給与所得控除を引いた額)が、令和7年分は58万円以下、令和8年分以後は62万円以下のとき、配偶者控除(本人の合計所得金額が900万円以下なら38万円、70歳以上の配偶者は48万円。900万円超は段階的に減り、1,000万円超は0)が使えます。これを超え133万円以下のときは配偶者特別控除で、配偶者の所得が増えるほど減ります。扶養親族の所得要件も、令和7年分の58万円以下から令和8年分以後は62万円以下になりました。給与だけなら、令和7年分が年収123万円以下、令和8年分・令和9年分が136万円以下、令和10年分以後が131万円以下です。

扶養控除は、一般38万円・特定63万円・老人(同居老親等以外)48万円・同居老親等58万円で、4つの年分とも同じです。ひとり親控除は、本人の合計所得金額が500万円以下のとき、令和7年分・令和8年分が35万円、令和9年分から38万円です。

5. 税額(令和9年分から防衛特別所得税)

課税所得(1,000円未満切捨て)に、速算表の税率(195万円以下は5%、330万円以下は10%、695万円以下は20%、900万円以下は23%、1,800万円以下は33%、4,000万円以下は40%)を掛けて算出所得税額を出します。そこから住宅借入金等特別控除を引いた額が、年末調整での年調所得税額です。これに102.1%を掛け、100円未満を切り捨てた額が年税額です。令和9年分以後の年末調整の「年末調整のしかた」はまだ出ていないため、100円未満の切捨ては令和8年分までと同じとして計算しています。令和8年分までは復興特別所得税2.1%、令和9年分からは復興特別所得税1.1%と防衛特別所得税1%の合計で、掛ける率は同じ102.1%です(国税庁の源泉徴収のあらまし)。

令和10年分以後はなぜ増えるか

基礎控除の本則(所得税法86条)は62万円、給与所得控除の最低額(所得税法28条)は69万円に引き上げられました。これに加えて、令和8年分・令和9年分だけ、基礎控除に42万円(合計所得489万円超655万円以下は5万円)を上乗せし、給与所得控除の最低額を74万円にする特例があります(租税特別措置法41条の16の2・29条の4)。令和10年分以後は、この2年分だけの上乗せが無くなり、合計所得132万円以下の人に37万円を加える形(基礎控除99万円)と、本則の62万円・69万円になります。そのため、多くの人で令和10年分以後の年税額は令和9年分より増えます。ただし、改正法の附則101条には、令和10年分以後の基礎控除と給与所得控除の最低額を、政府が2年ごとに物価の動きで見直すことを基本とする規定があります。令和10年分以後の列は今の法律のままの数字で、この見直しで変わる可能性があります(変わるかどうか、いくらになるかは、まだ決まっていません)。

源泉徴収と年末調整

この改正は、原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後に適用されます(ひとり親控除の38万円は令和9年分から)。令和8年11月までの給与の源泉徴収は改正前のままで、12月の年末調整で、改正後の年税額に合わせてまとめて精算されます。そのため、令和8年分の差額(減る分)は、11月までの源泉徴収では出ず、年末調整の精算で表れる見込みです。令和9年1月以後に払われる給与からは、改正後の源泉徴収税額表で毎月の源泉徴収が計算されます。

前提

例

給与の年収が300万円、社会保険料0、そのほかの控除は無しの人の場合です。

社会保険料が年45万円(年収のおよそ15%)の場合は、年税額が令和7年分35,200円、令和8年分27,000円(8,200円少ない)、令和9年分27,000円、令和10年分以後48,400円(21,400円多い)です(課税所得はそれぞれ69万円・53万円・53万円・95万円)。

根拠(国税庁・e-Gov の原文)

令和10年分以後の見直しの規定は、所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号、2026年3月31日公布)の附則101条です。

最終更新:2026年10月9日(令和8年度の税制改正まで反映)。運営:経理の実務経験のある運営者。