所得税の基礎控除引上げで年税額はいくら変わるか(令和7年分〜令和10年分)
令和8年度の税制改正で、給与の人の所得税の基礎控除などが変わりました。給与の年収・社会保険料・家族を入れると、同じ収入・同じ家族のままで、令和7年分・令和8年分・令和9年分・令和10年分以後の年税額(復興特別所得税・防衛特別所得税を含む)を並べ、前の年分との差を出します。
先に確かめてください:この計算は、勤め先が1か所で、年末調整を受ける給与の人だけが対象です。次の人・控除は、この道具の対象外です。
- 給与以外の所得がある人
- 2か所以上から給与をもらっている人
- 給与が2,000万円を超える人
- この道具では入れられない控除:障害者控除・寡婦控除・勤労学生控除・特定親族特別控除(19〜22歳の子の給与が、令和7年分は123万円、令和8年分・令和9年分は136万円、令和10年分以後は131万円を超える場合など)。どれも年末調整で受けられますが、この道具の計算には入りません
- 年末調整でできない控除:医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税など)・雑損控除など(確定申告で受けるもの)
- 住民税(住民税の基礎控除は43万円のままなど、別の決まりです)
計算する
賞与を含めた、源泉徴収票の「支払金額」です(通勤手当の非課税分は除きます)。2,000万円まで。
健康保険・厚生年金・雇用保険など。
生命保険料控除・地震保険料控除・iDeCoなどを、自分で計算した合計。年ごとに同じ額で計算します。
2年目以降の人。無ければ0。年ごとに同じ額で計算します。
給与の年収を入れると、ここに4つの年分の表が出ます。
確定 公布済みの法律のとおり
令和8年度の税制改正(所得税法等の一部を改正する法律、令和8年法律第12号、2026年3月31日公布)後の法律で計算しています。令和10年分以後の列は、今の法律のままの数字です。
表は横にスクロールできます。
| (円) | 令和7年分 (2025年) | 令和8年分 (2026年) | 令和9年分 (2027年) | 令和10年分 以後(2028年〜) |
|---|
令和10年分以後の列は、今の法律のままです。附則101条で2年ごとに見直すことを基本とする規定があり、見直しで変わる可能性があります。
予定 改正された場合
2026年10月9日に確かめた範囲では、令和9年度の税制改正の大綱は出ていません。大綱や法案が出たら、ここに「改正された場合」の数字と、今の法律との差額を並べます。
目安の計算です。実際の税額は、年末調整や確定申告の内容、個別の事情で変わります。大事な判断には、税理士や税務署にもご確認ください。
計算のしかた
年分ごとに、次の順で計算します。給与の年収から給与所得控除を引いた金額(給与所得)を出し、そこから所得控除の合計を引いた課税所得に税率を掛け、住宅ローン控除を引いて、最後に特別所得税の分を足します。
1. 給与所得控除後の給与等の金額
給与の年収から給与所得控除を引いた金額です(所得税法28条・別表第五)。給与所得控除の最低額(収入が低いときの控除額)は、令和7年分が65万円、令和8年分と令和9年分が74万円(租税特別措置法29条の4の特例)、令和10年分以後が69万円です。収入が一定の額(令和7年分は190万円、令和8年分・令和9年分は220万円、令和10年分以後は203万6,000円)以上になると、どの年分も同じ表(4,000円刻みの収入×70%−8万円など)になります。
2. 所得金額調整控除と合計所得金額
本人が特別障害者の場合や、23歳未満の扶養親族がいる場合などで、給与の年収が850万円を超えるときは、年収(上限1,000万円)から850万円を引いた額の10%(円未満切上げ)を、給与所得から引きます。この式は4つの年分とも同じです。引いた後の金額が合計所得金額(この道具では給与所得)です。
3. 基礎控除(合計所得金額で決まります)
基礎控除は、年分と合計所得金額で次のように決まります(所得税法86条と、租税特別措置法41条の16の2の加算)。
| 合計所得金額 | 令和7年分 | 令和8年分・令和9年分 | 令和10年分以後 |
|---|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 104万円 | 99万円 |
| 132万円超 336万円以下 | 88万円 | 104万円 | 62万円 |
| 336万円超 489万円以下 | 68万円 | 104万円 | 62万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 63万円 | 67万円 | 62万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 | 62万円 |
| 2,350万円超 2,400万円以下 | 48万円 | 48万円 | 48万円 |
| 2,400万円超 2,450万円以下 | 32万円 | 32万円 | 32万円 |
| 2,450万円超 2,500万円以下 | 16万円 | 16万円 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0 | 0 | 0 |
4. 配偶者控除・配偶者特別控除、扶養控除、ひとり親控除
配偶者の合計所得(この道具では配偶者の給与から、同じ年分の給与所得控除を引いた額)が、令和7年分は58万円以下、令和8年分以後は62万円以下のとき、配偶者控除(本人の合計所得金額が900万円以下なら38万円、70歳以上の配偶者は48万円。900万円超は段階的に減り、1,000万円超は0)が使えます。これを超え133万円以下のときは配偶者特別控除で、配偶者の所得が増えるほど減ります。扶養親族の所得要件も、令和7年分の58万円以下から令和8年分以後は62万円以下になりました。給与だけなら、令和7年分が年収123万円以下、令和8年分・令和9年分が136万円以下、令和10年分以後が131万円以下です。
扶養控除は、一般38万円・特定63万円・老人(同居老親等以外)48万円・同居老親等58万円で、4つの年分とも同じです。ひとり親控除は、本人の合計所得金額が500万円以下のとき、令和7年分・令和8年分が35万円、令和9年分から38万円です。
5. 税額(令和9年分から防衛特別所得税)
課税所得(1,000円未満切捨て)に、速算表の税率(195万円以下は5%、330万円以下は10%、695万円以下は20%、900万円以下は23%、1,800万円以下は33%、4,000万円以下は40%)を掛けて算出所得税額を出します。そこから住宅借入金等特別控除を引いた額が、年末調整での年調所得税額です。これに102.1%を掛け、100円未満を切り捨てた額が年税額です。令和9年分以後の年末調整の「年末調整のしかた」はまだ出ていないため、100円未満の切捨ては令和8年分までと同じとして計算しています。令和8年分までは復興特別所得税2.1%、令和9年分からは復興特別所得税1.1%と防衛特別所得税1%の合計で、掛ける率は同じ102.1%です(国税庁の源泉徴収のあらまし)。
令和10年分以後はなぜ増えるか
基礎控除の本則(所得税法86条)は62万円、給与所得控除の最低額(所得税法28条)は69万円に引き上げられました。これに加えて、令和8年分・令和9年分だけ、基礎控除に42万円(合計所得489万円超655万円以下は5万円)を上乗せし、給与所得控除の最低額を74万円にする特例があります(租税特別措置法41条の16の2・29条の4)。令和10年分以後は、この2年分だけの上乗せが無くなり、合計所得132万円以下の人に37万円を加える形(基礎控除99万円)と、本則の62万円・69万円になります。そのため、多くの人で令和10年分以後の年税額は令和9年分より増えます。ただし、改正法の附則101条には、令和10年分以後の基礎控除と給与所得控除の最低額を、政府が2年ごとに物価の動きで見直すことを基本とする規定があります。令和10年分以後の列は今の法律のままの数字で、この見直しで変わる可能性があります(変わるかどうか、いくらになるかは、まだ決まっていません)。
源泉徴収と年末調整
この改正は、原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後に適用されます(ひとり親控除の38万円は令和9年分から)。令和8年11月までの給与の源泉徴収は改正前のままで、12月の年末調整で、改正後の年税額に合わせてまとめて精算されます。そのため、令和8年分の差額(減る分)は、11月までの源泉徴収では出ず、年末調整の精算で表れる見込みです。令和9年1月以後に払われる給与からは、改正後の源泉徴収税額表で毎月の源泉徴収が計算されます。
前提
- 勤め先が1か所で年末調整を受ける人が対象です。給与以外の所得、2か所以上の給与、給与2,000万円超、障害者控除・寡婦控除・勤労学生控除・特定親族特別控除、年末調整でできない控除、住民税は計算に入れていません。
- 4つの年分とも、給与の年収・社会保険料・その他の所得控除・住宅ローン控除の額・家族の人数は同じとして計算します。年分によって扶養の所得要件を満たしたり外れたりする人がいると、その年分の差額は正しく出ません。
- その他の所得控除(生命保険料控除・地震保険料控除・iDeCoなど)の合計と、住宅借入金等特別控除の額は、自分で計算した額を入れる必要があります。
- ひとり親にチェックを入れると、配偶者はいないものとして計算します。
- 配偶者の合計所得は、配偶者の給与から同じ年分の給与所得控除を引いた額とします(配偶者に給与以外の所得や、所得金額調整控除・特定支出控除がある場合は合いません)。
- 令和10年分以後の列は、今の法律のままの数字です。附則101条による見直しで変わる可能性があります。令和9年度の税制改正の大綱は、2026年10月9日に確かめた範囲では出ていません。
例
給与の年収が300万円、社会保険料0、そのほかの控除は無しの人の場合です。
- 令和7年分:給与所得控除後の金額202万円、基礎控除88万円、課税所得114万円、算出所得税額57,000円、年税額58,100円。
- 令和8年分:基礎控除104万円、課税所得98万円、算出所得税額49,000円、年税額50,000円。令和7年分より8,100円少なくなります。
- 令和9年分:令和8年分と同じ50,000円です。
- 令和10年分以後(今の法律のまま):基礎控除62万円、課税所得140万円、算出所得税額70,000円、年税額71,400円。令和9年分より21,400円多くなります。
社会保険料が年45万円(年収のおよそ15%)の場合は、年税額が令和7年分35,200円、令和8年分27,000円(8,200円少ない)、令和9年分27,000円、令和10年分以後48,400円(21,400円多い)です(課税所得はそれぞれ69万円・53万円・53万円・95万円)。
根拠(国税庁・e-Gov の原文)
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」(原則として令和8年12月1日施行、令和8年分以後に適用)
- 国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」(PDF)
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の速算表等(PDF)
- 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税の源泉徴収のあらまし」(PDF)(令和9年分以後、年末調整は年調所得税額×102.1%)
- e-Gov 法令検索「所得税法」(28条・別表第五、81条、83条、83条の2、84条、86条など)
- e-Gov 法令検索「租税特別措置法」(29条の4、41条の16の2)
令和10年分以後の見直しの規定は、所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号、2026年3月31日公布)の附則101条です。
最終更新:2026年10月9日(令和8年度の税制改正まで反映)。運営:経理の実務経験のある運営者。